2024年8月25日よりブログ開始!

ワイン中の有害物質”生体アミン”とは?

こんにちは、グレぴよです。
今日もブドウ・ワインの勉強をするよ!

営業マン太郎

グレぴよー! 昨日飲み会で「ワインはどうしても頭が痛くなるから苦手なんだよね〜」って友達が言ってたんだけど、科学的な根拠とかあるのかなぁ?

グレぴよ

どんなワインをどれくらい飲むかによるから、なかなか説明は難しいけど、確かにワイン中に候補となる原因物質は微量含まれているよ! 最新文献をもとに学んでみよう!

今回の記事で分かること
  • ワイン中には”生体アミン”という人体に悪影響を及ぼし得る化合物が微量含まれている。
  • 通常は微量であり全く問題ないが、発酵条件等のプロセスが不適切だと、ワイン中の生体アミン量が増加する
  • 一般的には、自然派ワインの方が生体アミン量の増加リスクが高く、ハイレベルな微生物制御が求められる。
  • 生体アミン生成を抑制するための新しい微生物技術が開発されている。

◾️本記事の参考情報
Food Res Int. 2024年5月28日公開
https://doi.org/10.1016/j.foodres.2024.114558
Impact Factor:7.0(2023)

目次

生体アミンとは?

ワインを愛する我々にとって、その香りや味わいは何よりも重要な要素です。しかし、その一方で、ワインに含まれる成分の中には、健康に悪影響を及ぼすものも存在します。

その一つが、発酵食品に幅広く含まれている低分子量の有機窒素化合物”生体アミン”で、ヒスタミンやチラミンなどが代表的です。ヒスタミンやチラミンの毒性を経験した人によく見られる症状には、頭痛、心拍の増加、吐き気、下痢などがあります。

営業マン太郎

二日酔いの症状と似てるなぁ〜

摂取した生体アミンは、腸粘膜に存在するアミン酸化酵素によって急速に解毒されます。そのため、適量であれば健康に影響ありませんが、過剰に摂取すると悪影響が生じる可能性があります。

生体アミンはどうやって生成される?

生体アミンは、ワインの発酵過程で酵母乳酸菌によって生成されます。特にマロラクティック発酵の寄与が大きく乳酸菌が産生する酵素がアミノ酸を脱炭酸することで生成されます(下図)。

生体アミンは、微生物が産生する酵素によって、遊離アミノ酸が脱炭酸されることで生成する

引用:Food Res Int.

営業マン太郎

マロラクティック発酵…!? 初耳だけど、なんかまろやかになりそうだね。

グレぴよ

大当たり! 主に乳酸菌が、リンゴ酸(シャープな酸味)を乳酸(柔らかいマイルドな酸味)に変換する反応のことだよ。ワインの風味や口当たりに大きな影響を与えるんだ。

生体アミンを減らす方法

ワインの安全性を確保するために、醸造過程で生体アミンの生成を抑制する手法が研究されています。

引用(一部改変):Food Res Int.

1. 発酵条件の最適化

生体アミンの生成は、発酵の条件によって大きく左右されます。以下の要因が特に重要です。

  • 温度管理低温で発酵を行うことで、微生物の代謝活動が抑制され、生体アミンの生成が減少します。
  • pH調整:ワインのpHが低い(より酸性)ほど、乳酸菌の増殖が抑えられ、生体アミンの生成が減少します。適切なpH管理(例えばpH3.2〜3.5)は、アミン生成を抑えるのに有効です。
  • 亜硫酸塩(SO2)の使用SO2は微生物の増殖を抑制し、生体アミンの生成を防ぐために伝統的に使用されてきました。一方で、自然派ワインの台頭とともにSO2の使用量は制限される傾向にあり、代替可能な新たな抗菌剤や酵素が研究されています。
    例えば、リゾチーム(乳酸菌の細胞壁を破壊する酵素)により乳酸菌の増殖を抑制し、生体アミンの生成を抑制する方法が報告されています。

2. 代替微生物の利用

通常の醸造では、乳酸菌がマロラクティック発酵を行い、これが生体アミンの主な生成源となります。しかし、以下のような代替微生物を使用することで、生体アミンの生成を抑制することができます。

  • ヒスタミン生成能力を持たない乳酸菌:特定の乳酸菌はヒスタミンを生成しないため、これらを使用することでワイン中のヒスタミン濃度を低く保つことができます。例えば、Oenococcus oeniという菌株は、ヒスタミン生成が少ないことで知られており、マロラクティック発酵に使用されています。
  • バイオリメディエーション:最近の研究では、ヒスタミンやチラミンを分解する能力を持つ微生物が注目されています。これらの微生物を発酵に利用することで、生体アミンの生成を防ぎながら、既に生成されたアミンを減少させることが可能です。

3. 醸造施設の衛生管理

生体アミンの生成を抑えるためには、醸造施設内の衛生状態を高く保つことが不可欠です。

  • 施設の清潔さ:発酵タンクやパイプラインの清掃を徹底することで、不要な微生物の増殖を防ぐことができます。これにより、アミンの生成を抑制する効果が期待されます。
  • 醸造設備の管理:設備が清潔であるだけでなく、適切にメンテナンスされていることも重要です。特に発酵タンクや貯蔵設備においては、細菌が繁殖しないように管理を行う必要があります。
グレぴよ

安心安全なワインを生産するためには、微生物管理が欠かせないよ!

結局、ワイン中の生体アミンには気をつけた方がいいの?

健康な成人であれば、1日に50mgまでのヒスタミン摂取は通常安全とされています(EFSA, 2011)。
※ヒスタミンに敏感な人では、より低い摂取量(例えば10mgほど)でも症状が現れることがあります。

ワイン中のヒスタミン含有量は、種類や製造プロセスにより異なりますが、一般的には赤ワインで6〜20 mg/L白ワインやロゼワインで1〜10 mg/Lとされています。

また、一部の国では、ワイン中のヒスタミン含有量に関して推奨される上限値が設けられています。

  • ドイツ:上限値 2 mg/L
  • オーストリア:上限値 3 mg/L
  • フランス:上限値 8 mg/L
  • オーストラリア:上限値 10 mg/L

これらの情報から考えて、ヒスタミンに特別敏感な人で無ければ、ヒスタミンの悪影響が発生するほど1日にワインを飲めることは無いと思われます

グレぴよ

ただ、これは個人的な意見だけど、自然派をかなり全面に出しているワインを飲む際には一定気をつけているよ! 自然派ワインの方が微生物管理の難易度が飛躍的に高いから、どうしても生体アミンの発生リスクは高くなるんだ。 日本では上記のようなヒスタミンの上限値は設定されていないしね。

まとめ:あまり気にせずワインを楽しもう!

営業マン太郎

生体アミンって初めて聞いたけど、リスクを含めて良く理解できたよ! 僕はアルコールに強い方だと思うけど、生体アミンの毒性が出るレベルでワインを飲んだら、アルコールの影響でダウンしてしまうや。笑

グレぴよ

生体アミンという存在は知っておきつつ、普段はそんなに気にする必要無いと思うよ! 生産者の方々の努力に感謝だね!

あとがき

グレぴよ

気にせずワインを飲んでいる証拠として、家ではブラインドでワインを飲むことも多いよ! 何が届くか分からないワイン4本セット (←京橋ワインリンク) を購入して、届いたワインをワインバック (←Amazonリンク) に入れてボトル全体を隠すんだ! そして黒塗りのワイングラス (←楽天市場リンク) に注げば、赤か白かも分からないよ! 先入観なしでワインを楽しめるから是非やってみてね!

以上、グレぴよでした!

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次