シャンパーニュの泡を徹底解明!

シャンパーニュの泡を徹底解明

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こんにちは、グレぴよです。
今日もブドウ・ワインの勉強をするよ!

グレぴよ

太郎くん! シャンパーニュの泡を科学的に分析した論文が発表されて、内容が面白かったよ! ちょっと聞いてよ!

営業マン太郎

グレぴよって、スパークリングワイン好きだもんね!
勉強させてもらうよ!

今回の記事で分かること
  • 常温でシャンパーニュを開けると、ボトルネックから青白いCO2ガスが確認できる。
  • グラス中で上昇した泡はワイン表面で弾けて、香気成分を含む小さなエアロゾルとして飛び散り、豊かなシャンパーニュの香りを増強する。
  • 細長いフルートグラスは、泡が長く続き、香りが濃縮される。
    ボウル型のクーペグラスは、香りを広範囲に広げ、より豊かな風味を楽しめる。
  • シャンパーニュの泡には、見た目以上に科学的な奥深さがあり、正しい注ぎ方やグラス選びでその魅力を最大限に引き出すことができる

◾️本記事の参考情報
Food Res Int. 2024年7月2日公開
https://doi.org/10.1016/j.foodres.2024.114678
Impact Factor:7.0(2023)

目次

シャンパーニュの概要

シャンパーニュは、フランスのシャンパーニュ地方で特定の条件を満たして生産されたスパークリングワインです。
特別な瞬間を彩るための象徴的な飲み物として、世界中で広く愛されています。

世界のワイン生産量は年間320億本で、その約8%がスパークリングワインになります(2023年統計)。
スパークリングワイン全体では、イタリアが最大の生産国であり、フランスとドイツが続きます(2020年統計)。
最新のシャンパーニュ出荷量は年間2億9900万本でした(2023年統計)。

シャンパーニュをグラスに注いだ際の泡の形成、香りの広がり、口に含んだ際の弾ける感覚などは、全て科学的なメカニズムに裏打ちされています。その科学的な側面を理解することで、シャンパーニュをより深く楽しむことができます。

常温でシャンパーニュを開けると青く見える!?

密封されたボトル内では、気相の二酸化炭素(以下、CO2)と溶液中のCO2が平衡関係にあります(ヘンリーの法則)。
5℃で冷蔵保存されたシャンパーニュ(内圧4.5 bar)のコルク栓を開けようとすると、ボトル内のCO2圧力が変化して、コルク栓がボトルネックから強く押し出されると同時に、CO2を主成分とするガス混合物(微量の水とエタノール蒸気を含む)が空気中で自由膨張します。すると、数十度の温度低下が起こり(ボイル-シャルルの法則)、周囲の水蒸気が速やかに凝縮して小さな水滴の雲を形成します
これら水滴による光の散乱(ミー散乱)により、白っぽい色合いで観察されます(下図)。

5℃で保存されたシャンパーニュのコルクが開く瞬間の高速画像(400 μs間隔)

引用:Food Res Int.

一方で、面白いことに20℃で保存されたシャンパーニュ(内圧7.5 bar)のコルク栓を開けると、青っぽい色合いのガスで観察されました(下図)。

20℃で保存されたシャンパーニュのコルクが開く瞬間の高速画像(μs単位)

引用:Food Res Int.

コルク栓をした状態でボトル内に7.5 barの圧力がかかると、自由膨張時にガスの温度が -90℃まで急降下 するため、CO2の凝固点(-78.5℃)を下回り、部分的かつ一時的に凍結され、光の散乱(レイリー散乱)で青く見えるようです。

グレぴよ

空が青く見えるのも、同じレイリー散乱による現象みたいだよ。20℃でスパークリングワインを開けることは普通無いけど、一度開けてみたくなるね!

さらに、シャンパーニュ開栓時に排出されるガスの複雑な流体力学を解明するため、数値流体力学を利用したシミュレーションが開発されました(下図)。
真ん中の画像の矢印部分にマッハディスクの形成が見られたことが、大きな発見のようです。

20℃で保存されたシャンパーニュ(内圧7.5 bar)のコルクを抜いた後の流体力学シミュレーション

引用:Food Res Int.

営業マン太郎

マッハディスクなんて初耳だよ…

グレぴよ

マッハディスクとは、ガス流体が音速を超えているとき、その速度を減速させるために形成されるショック波のことだよ!ディスク状に見えることが特徴で、ロケットエンジンの噴射流とかで見られる現象みたい。

営業マン太郎

シャンパーニュを開けた時って、ロケット並みのスケールの現象が起きてるのか…! 驚きだね!

グラスに注いだシャンパーニュの泡

シャンパーニュを開栓すると、大気中のCO2濃度が低い(≈ 400 ppm)ため、熱力学的平衡を保とうとワイン中のCO2が気相へ移行していきます。
さらに、グラスに注ぐ際の乱流により、シャンパーニュ中のCO2が大量に失われます。

そこで、CO2ガスを赤外線画像で見える化し、グラスへの注ぎ方がシャンパーニュ中のCO2に与える影響を評価しました(下図)。
垂直に立てたフルートグラスの真ん中にシャンパーニュを注ぐと、乱流が発生し、ワイン中のCO2が速やかに漏れ出てしまう一方で、傾けたフルートグラスの側面にシャンパーニュを注ぐと、その損失が最小限に抑えられています

引用:Food Res Int.

営業マン太郎

飲み会でスパークリングワインを人数分注ぐ際、垂直に立てたまま注いでた…。これからは側面に注ぐことを意識しようっと!

また、市販のフルートグラスは、底へ意図的にレーザーで傷をつけることで、泡の形成を促しています(下図)。

引用:Food Res Int.

グレぴよ

この工夫が、シャンパーニュの見た目の美しさに繋がっているんだね!

形成された泡は、ワイン表面に向かって上昇する過程で、溶解しているCO2を徐々に吸収してサイズが大きくなります。その結果、泡は進行方向へ継続的に加速します(下図)。

シャンパーニュを注いだグラス内の気泡に着目した連続写真

引用:Food Res Int.

上昇した泡はワイン表面で弾けて、小さなエアロゾルとして飛び散ります(下図)。
このエアロゾルには様々な香気成分が溶け込んでいるため、シャンパーニュの香りが空気中に散布されて、より豊かな香りを楽しむことができます

引用:Food Res Int.

シャンパーニュに適したグラスとは

泡のサイズは、泡がワイン中を移動した距離が長いほど大きくなります。つまり、ワイン表面に浮かんでくる泡のサイズは、グラスの種類によって異なります。例えば、フルートグラスに注いだ際の泡サイズは、クーペグラスに注いだ場合の約3倍大きくなります(下図)。

グラスに注いでから30秒後のワイン表面に浮かぶ泡サイズ

引用:Food Res Int.

グレぴよ

熟成すると溶存CO2が減って泡のサイズが小さくなるからか「泡のサイズが細かい方が良いワイン」とも言われるけど、グラスの種類を工夫することでも変えれるんだね!

次に、シャンパーニュを2種類のグラスに注いだ後、漏れ出るCO2ガスを”ガスクロマトグラフィーによる定量分析”と”赤外線画像による見える化技術”で解析しました(下図)。
結果、クーペグラスよりもフルートグラスの方が、飲用部位のCO2濃度が2倍ほど高いことがわかりました。

グレぴよ

フルートグラスの方が漏れが少ないから、香りも濃縮されて感じられるよ!

シャンパーニュを注いでから10秒後の赤外線画像。フルートグラスの方で飲用部位がより濃色になっている。

引用:Food Res Int.

まとめ:シャンパーニュの泡は面白い!

営業マン太郎

注ぎ方やグラス選びを工夫することで、よりシャンパーニュを美味しく楽しめることが分かったよ!
科学的な裏付けは難しい内容も多かったけど、ビジュアル的になんとなく理解できた!

グレぴよ

個人的には、泡を口に含んだ際に起こる身体の応答について、最新の情報が気になったなぁ〜。引き続き勉強していきたいね!

あとがき

グレぴよ

昨日はいいことがあったから、アンリオ (←Amazonリンク) を飲んだよ!
たまにしか飲めないけど、好きな銘柄なんだよな〜。

以上、グレぴよでした!

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